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世界中で活躍する「リアルライフスーパーヒーロー」!

 

 つい先日、英国にてバットマンが警察署に現れ、容疑者を警察に突きだすというニュースが世界を駆け巡った。写真も同時に公開されたが、「すごいや! バットマンは本当にいt……何このデブ?」となった人も多かろう。後に明らかになった顛末によれば、このバットマンの正体は地元に住むコスプレ好きの男性だったそうで、知人から「警察に出頭したいので連れて行ってくれ」と頼まれ同行したというのが真相だったようだ。……突き出された知人(容疑者)がどう思ったのかは不明である。「自首するつもりで付き添ってもらったのに、自分だけヒーローになりやがって!」みたいに思っていた場合、後でヴィラン化する可能性も無くはない。
日本だと自首すれば罪が軽くなるけど、英国ではどうなんだろうね。この件はつまるところコスプレイヤーの悪ふざけだったのだが、世の中には真面目(?)にヒーローを名乗り、地道な活動を続ける「リアルヒーロー」も存在する。2年ほど前に方々で取り上げられたので、ご存じの方も多いだろう。

 

上記のうち「フェニックス・ジョーンズ」は、残念なことに2011年に暴行の疑いで逮捕されている。といっても悪党をボコって再起不能にしたとかではなく、市民に催涙スプレーを食らわしてしまったのだとか。不幸な事件はさておき、今回改めてリアルヒーローを検索してみた所、上記以外にも多くの名前が出てきた。英語版Wikipediaによれば「Real-life superheroes (RLSH)」と呼ばれ、アメリカだけで20人近く、ほかカナダ、ヨーロッパなども含めると30人を超えるヒーローが存在するらしい。
2011年には彼らの活動を追った自主製作のドキュメンタリー映画も作られ、インディー系映画祭で上映されている。

 

これに関連してか各ヒーローのポスターも作成されているが、いずれも力が入っていて「ひょっとして空くらい飛べるんじゃね?」という気持ちを抱かせてくれる。一例を挙げるとこんな感じ。
Citizen Prime Crimson Fist Geist Nyx

 

しっかりスーパーヒロインまでいるあたり、実にバリエーション豊かで楽しげですな。アベンジャーズに交じっていても予備知識のない人なら違和感は覚えないのではないか。凶悪な宇宙人とも戦えそうな外見だが、彼らリアルライフ・ヒーローの主な活動は夜間のパトロールやホームレスへの救援物資配達など、地味な活動がほとんどだ。それと比較するとコミックヒーローをオマージュした扮装は派手すぎる気もするが、一種の広告塔のような役割も果たしているのかもしれない。
工夫を凝らしたヒーローのコスチュームは目を引くし、仮装っぽくて楽しそうでもある。そうやって興味を惹かれた人の中から自分も何が手伝えないかとフォロワー生まれるかもしれない。
ついでに言えば、犯罪防止の夜間パトロール(もちろん建物の屋根から屋根へと飛び移ったりはしない)には結構有利ではないかと思う。あの派手なナリで通りを闊歩すれば、ヒーロー野郎に説教されたくない夜遊びキッズへの牽制になるのではないだろうか。一方、正統派なヒーローとは違うダークヒーロー風味の人たちもいる。
Death’s Head Moth Phantom Zero Thanatos Ragensi

 

ご覧くださいこの禍々しいオーラを。思わず「魔界のご出身ですか?」と、分かっていても聞きたくなるような存在感がある。
その格好は地域のお助けヒーローとして本当にふさわしいのかと突っ込まずにはいられないが、一種のギャップ萌えを誘発できる可能性はある。例えば迷子になった時に、デスズヘッドモスさん(左端)が親切に大使館まで案内してくれたら管理人も惚れるかもしれん。……いや、どうかな。言葉の壁とは違う意味で意思の疎通が図れるかどうか不安だぞこの人。全身像とかこんな感じだし。

 

戦闘する気マンマンのスタイルに見えるのは管理人だけだろうか。
そもそもDeath’s head mothとは背中にドクロの模様がある蛾のことだそうで、ネーミングからしても不気味極まりない。右から2番目のタナトスさんとか死神の名前ですよ。怖ぇえよ。夜中に出会ったら回れ右して逃げるよ。でも対岸の火事……ではなく対岸の怪人として見るならば、ダークヒーローっぽいデザインには素直に憧れを感じもする。そもそも管理人の美的感覚は、ダークヒーロー系アメコミ映画「クロウ-飛翔伝説-」(1994)に多大な影響を受けているので、その流れを受け継いだこの手のデザインにときめくのは自然といえば自然なのだ。そういうダーク系リアルヒーローの中で、特に管理人の心を動かしたのがニューヨークのヒーローチーム「The New York Initiative」

   

(参考→RLSH Wiki

 

この、ダークヒーローかつアウトロー寄りのビジュアルがかなりツボ。マスクやらプロテクターやら装備はまちまちながらいずれも黒をベースにしており、コミック的派手さは控えめながらそのぶん都市の風景にマッチしているように思える。微妙にヴィランっぽくも見えるけど。このNew York Initiative(以下NYI)は2010年に結成されているが、その背景には「ロングアイランド・シリアルキラー」の名でメディアを騒がせた連続殺人事件が関係している。
これは売春婦を標的にした殺人者で、すでに十数人が犠牲となり、2011年にも同一犯によるものと目される遺体が見つかっている。犯人は警察・司法知識に詳しい人物とも推測されていたが、その後捕まったかどうかはちょっと情報が見当たらない。さながら現代版切り裂きジャックとでも言うべき犯罪者だが、NYIはこういった異常者から売春婦を護る目的で作られたそうだ。活動の内容は実戦的な護身術や、身の回りのものを武器として扱う方法を教えたりと(いずれも無料)、他のリアルヒーローと比較して武闘派な印象が強い。とはいえボディガードを請け負っているというわけではなく、あくまでも「自衛手段のレクチャー」が活動の骨子のようだ。
Trust yourself (自分を信じろ)」の言葉が入ったNYIロゴ

 

ヒーローというより見た目がいかつい民間警備団体のような感じだが、れっきとした「リアルヒーロー」に位置付けられており、メンバーの何人かはちゃんとポスターも作られていたりする。見た目が怖そうな人も少なくないが、何だかんだで横のつながりはあるらしい。
Zimmer Z

 

左のジマーさんはアレでしょ? サイバースペースにジャックインとかそういう系の能力なんでしょ? と出自を知っていても期待したくなるポスターだ。
というかこのポスター制作担当はいい仕事しすぎだと思う。NYIは言うまでもなくニューヨークが主な活動場所だが、バージニア州には「Virginia Initiative」なるヒーローチームが存在している。ロゴもNYIのそれとほぼ同じであり、支部なのか分派なのかは分からないが、同じような主旨のもとに作られた団体なのだろう。
なお、上で取り上げたDeath’s head mothさんは、このVIのリーダーの一人だったりする。(参考→RLSH Wiki
……ちゃんと意思の疎通はできるようだ。日本には、これらリアルヒーローに対応する個人・団体はなさそうである。若い女の子がリアル魔法少女になって町の美化活動などしてみたら面白い……と思ったが、たとえどんなに可愛くても痛々しいと思われるのがオチだろう。
このあたりは奥ゆかしさを美徳とする日本人の民族性だろうが、この他にもヒーローコミック文化の浸透度や社会奉仕に対する考え方の違いなども大きく関係していると思う。例えばボランティアという言葉も日本と欧米ではとらえ方が違うそうだが、リアルヒーローを通してそうした文化的ギャップを浮き彫りにできるかもしれない。
そのためにも、上の方で触れたリアルヒーロー達のドキュメンタリー映画を日本でリリースしてくれないもんかと思う。
「スーパー!」で我慢しろって? うん。まぁそのうち観ようとは思ってるけどさ。